糖尿病内科Diabetes Mellitus
糖尿病内科診療について
当院では最も一般的な2型糖尿病だけでなく、1型糖尿病、その他の糖尿病、妊娠糖尿病と幅広く治療を行っております。また糖尿病専門医として適切な治療選択や新しい治療法にも対応しております。
以前に糖尿病と診断されたが受診できていなかった、現在飲んでいる薬でいいのか不安、他院で通院していたが自己中断してしまった、健診で血糖値が高いと言われたなど、少しでも気になることがありましたら気軽に当院へご相談ください。
糖尿病の症状
思い当たる症状やお悩みがあるときは当院にご相談ください。
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のどが渇きやすく、水分をよく取るようになった
尿の回数が増えた、夜間にトイレで目が覚めてしまう
食事をとっているのに体重が減っていく
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疲れやすい、体がだるい
健診で血糖値が高いと言われた
家族に糖尿病の人がいる
日常的に起こりやすい症状でも、適切な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。体調不良や健康に関して気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
糖尿病の診断
血糖値は食事の前後や時間帯などによって大きく変動します。そこで安定した血糖値の状態を表す指標として、現在、広く使われているのがHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)です。過去1~2カ月の平均血糖値を反映し、糖尿病の合併症予防のための血糖コントロールの管理に有効とされています。
糖尿病の診断基準は以下になります。
- 1
早朝空腹時の血糖値が
126mg/dL以上
- 2
75グラム経口ブドウ糖負荷試験で2時間後の血糖値が
200mg/dL以上
- 3
時間に関係なく測定した
血糖値(随時血糖値)が200mg/dL以上
- 4
HbA1cの値が
6.5%以上
糖尿病の種類
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1型糖尿病
インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されることによりインスリン分泌が枯渇し、発症します。主に子どもや若い人に見られますが、どの年齢でも発症することがあります。肥満の関与はないとされています。
原因
β細胞が壊される原因は詳しくはわかっていませんが、免疫反応が正しく働かないことで自分の細胞を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一つであると考えられています。
治療
1型糖尿病の治療はインスリンの補充をする必要があります。そのため治療にはインスリンの自己注射が欠かせませんが、これに加えて食事療法や運動療法も行います。正しい治療と生活習慣の管理により、普通の日常生活を送ることができ、医師と共に適切な治療を見つけていくことが重要です。
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2型糖尿病
血糖値を下げる働きのあるインスリンの分泌不足や効き目が悪くなることで発症します。糖尿病患者さんの90%以上を占めるといわれています。
原因
食べ過ぎや運動不足による肥満、ストレス、睡眠不足といった生活習慣が原因となることが多いです。しかし、遺伝的要素も大きく、血のつながっている家族に2型糖尿病の人がいる場合、規則正しい生活を送り、痩せていても発症することがあります。
治療
バランスの良い食事、定期的な運動、体重管理が基本となります。医師の指導のもと、まずはこれらを行い正常な血糖値になる患者さんもいらっしゃいます。糖尿病が進行したケースや食事・運動療法だけではうまくいかない場合には、これに加えて内服薬による治療やインスリン注射を行うこともあります。糖尿病の治療薬は近年大きく進歩しており、たくさんの種類の治療薬があります。当院ではそれぞれの治療薬の特性と患者様お一人おひとりの生活スタイルを考慮しながら、総合的に判断していきます。
糖尿病は食事・運動療法や適切な治療によって良好な血糖値に保つことができますが、悪いまま放置すると様々な合併症(心臓病、脳卒中、腎臓病、網膜症、神経障害など)を引き起こすことがあるため、定期的な医師の診察が重要です。
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その他の糖尿病
遺伝子異常による糖尿病や、膵疾患(膵臓がんや慢性膵炎、膵臓の摘出手術後)や肝疾患(肝硬変など)による糖尿病、薬剤(ステロイド等)による糖尿病、ホルモン異常による糖尿病などがあります。
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妊娠糖尿病
妊娠中の糖代謝異常により血糖値が上昇し、血糖コントロールがうまくいかなくなる状態です。妊娠をきっかけに初めて糖代謝異常を起こした場合を「妊娠糖尿病」と呼び、妊娠前から糖尿病だった場合は「糖尿病合併妊娠」と区別しています。「妊娠中の明らかな糖尿病」には、もしかしたら妊娠前から診断されていない糖尿病があったかもしれないという糖代謝異常が含まれます。
原因
妊娠中は脂肪がつきやすい上に、胎盤から分泌されるホルモンの影響により、インスリンの効きが悪くなり、血糖が上がりやすくなります。妊娠前から肥満である、もしくはご家族に糖尿病の方がいる場合は、妊娠糖尿病を発症しやすい傾向があります。妊娠糖尿病に伴うリスクとして母体には流産や早産、妊娠高血圧症候群、羊水過多症、網膜症や腎症などが、赤ちゃんには巨大児、新生児の低血糖、先天奇形、黄疸など起こりやすく、子宮内で胎児が死亡することもあります。
治療
まずは食事療法から開始しますが、血糖値が高い場合はインスリン注射が必要になります。出産後に血糖値は良くなることが多いですが、妊娠前から血糖値が高い場合は治療を続けます。ただ、妊娠糖尿病の患者さんは将来糖尿病になるリスクが高いといわれているので定期的な検査が必要です。こまめにHbA1cや食後血糖値の推移を経過観察していくことが重要です。
糖尿病の早期発見の重要性
糖尿病は初期段階では自覚症状が少ないことが多く、健診などで高血糖や尿糖を指摘され、糖尿病の診断となることもあります。自覚症状のないまま進行し、放置すると重大な合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。定期的な健康診断により血糖値のチェックを行い、異常が見られた場合は速やかに受診するようにしましょう。
糖尿病の合併症
糖尿病になると血糖値が高い血液が血管にながれます。そういった状態が続くと血管を傷つけたり、血液をドロドロにしたりして様々な負担を血管に与えます。とくに細い血管(毛細血管)は影響を受けやすく、毛細血管が集中する網膜、腎臓、神経に早いうちから障害が現れてきます。これが三大合併症といわれる「糖尿病神経障害」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」です。
また、高血糖の状態は毛細血管だけではなく、太い血管にも影響を与え、大血管障害と呼ばれる脳梗塞や心筋梗塞など、命にかかわる重大な病気を引き起こすこともあります。
糖尿病の合併症は、数年から数十年の経過でゆっくり生じてきます。かなり進行するまで症状が出ず、気が付かないうちに合併症が進んでいることもあります。適切な治療を継続的に受け、良好な血糖コントロールを保ち合併症を予防することが重要です。
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糖尿病性神経障害
神経障害は糖尿病の方に最も多い合併症のひとつです。血糖値が高い状態が続くと、しびれや痛みを感じたり、その逆に感覚がなくなるなどの障害をおこしたりすることがあります。私たちが物を触って感じるのには「感覚神経」 、手足を動かすのには「運動神経」 、血圧の調整や消化管を動かすのには「自律神経」が関わります。高血糖が続くと、末梢神経の代謝に異常をきたして不必要な物質が溜まってしまったり、神経に栄養を与える血管が傷ついて血流が低下したりすることで、結果として神経の働きも障害されてしまいます。
さらに、神経障害は重篤な病気につながる場合があります。気になる症状があるときは早めに医師に相談してください症状
- 手足の先から広がるしびれや痛み
- 手足の感覚がにぶい
- 便秘、下痢や排尿異常
- 異常な発汗
- 立ちくらみ
- 勃起不全
このような症状がある方は早めに受診されることをお勧めします。
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糖尿病性網膜症
眼の中にある網膜という部分が傷ついて起こる合併症です。
網膜症が悪くなると、最悪の場合、眼底出血や網膜剥離を伴って失明に至る場合もあります。網膜症を悪くしないためには、主には日頃の血糖コントロールが重要です。その一方で、どんなに血糖コントロールが悪くても、早い段階で網膜症を見つけておけばレーザー治療などで大きな出血を予防できる場合があります。糖尿病の患者さんは、目の見え方などが正常と思っても、1年に1回は眼科受診をするようにしましょう。 -
糖尿病性腎症
高血糖は腎臓の血管に負担をかけ、時間とともにこれらの血管が損傷されることで、腎臓の機能が低下して起こる合併症です。高血圧も腎臓に負担をかける重要な要因です。 糖尿病性腎症の発症早期は無症状であることが多いですが、腎臓の機能が落ちてくると、からだの余分な水分や老廃物を尿としてからだの外に排泄する機能が弱まることで、からだがむくんだり、気分が悪くなったり、貧血をおこすなどのさまざまな症状を引きおこします。 さらに機能低下が進行し末期腎不全に至ると、腎臓の機能を代行する治療である「透析療法」が必要になります。日本の人工透析の原因は糖尿病性腎症が最も多いです。継続的な血糖コントロールと定期的な尿検査を行うことで早期発見と対策ができます。
症状
糖尿病性腎症の初期段階では症状が現れにくく、進行すると以下のような症状が現れます。
- むくみ(特に足や顔に現れる)
- 疲労感や全身の倦怠感
- 息切れ
- 食欲不振
- 吐き気
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糖尿病が起因する動脈硬化
糖尿病で高血糖の状態が慢性的に続くと、血管の壁が傷つきコレステロールが蓄積します。この蓄積したコレステロールは血管内にプラークという塊を形成し、動脈の壁が硬くなる動脈硬化が起こります。プラークが長い年月をかけて蓄積することによって動脈の血液の流れる部分が狭くなり、血液が流れにくくなります。プラークをおおう膜(被膜)が破れると、プラークが血液にさらされ血の塊(血栓)を形成し血管内部を塞ぐことがあります。このようにして血栓が血管を閉塞することにより、心筋梗塞・脳梗塞などが発症します。
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フットケア
糖尿病の合併症のひとつである神経障害や、動脈硬化などによって糖尿病性足病変を引き起こす場合があります。特に動脈硬化は血流障害をおこし、結果、足にさまざまな異常が出やすくなります。
また、高血糖の状態はからだの抵抗力を落とすため、細菌感染がおこりやすくなります。
さらに、糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症などにより視力が低下してくると、傷などの足の変化に気づきにくく、放置したまま足潰瘍や壊疽などの重大な病変に進行してしまうことがあります。重症の場合、足を切断しなければならないこともあります。大切な足を守るためには、血糖値を良好にコントロールするとともに、ご自身の日々のお手入れ(フットケア)がカギになります。ご自身の足の状態を知り、その状態に合わせた方法で手入れをしていくことが大切です。